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時間:2012-03-22
NECは、薄くて曲げられるなどの特長を有する二次電池「有機ラジカル電池」(注1)において、ICカード(規格厚0.76mm)に內蔵可能な厚さ0.3mmの超薄型電池を開発しました。
有機ラジカル電池は、薄型?柔軟性?高出力性?高速充電が可能など、リチウムイオン電池をはじめとする他の二次電池にはない特長を活かし、ICカードの高機能化や電子ペーパーなどへの適用が期待されています。しかしながら、従來の薄型化は0.7mmが限界であり、0.76mmの規格厚を有するICカードへの適用は困難でした。
今回、印刷技術を用いて回路基板と電池を一體化することで、従來比1/2以下となる厚さ0.3mmを実現しました。これにより、大きな電力を必要とする畫面表示機能や、通信機能、高度な暗號化処理機能をICカードに搭載することが可能となるなど、幅広い用途への適用を実現しました。
開発した電池の特長は以下のとおりです。
1. 回路基板と一體化することで、厚さ0.3mmの超薄型を実現
電池を包み込む外裝材として、回路基板にも利用可能な厚さ0.05mmのポリマーフィルムを使用。印刷技術により負極を回路基板上に直接形成すると共に、負極の上にセパレータ(絶縁體)、ラジカルポリマー正極などを積層して作製することで、厚さ0.3mmを実現。なお、従來の電池では、外裝材として利用していたアルミラミネートの厚みだけで0.2mmを要していた。
また、回路基板上には小型電子部品も実裝可能であり、電池に加えてアンテナ、ICを実裝した回路基板を用いることで、電池を內蔵した規格サイズのICカードが実現可能。
2. 高出力性と充放電の繰り返し耐性を両立し、高い実用性を実証
3cm角、厚さ0.3mm、電池容量3mAhの試作品において、體積あたりの出力密度5kW/L(注2)の高出力性を確認。試作品を利用することで、1回の充電により表示畫面の更新2000回、連続フラッシュ発光360回、位置情報送信35回などが可能。
また、充放電サイクル試験では、攜帯電話用リチウムイオン電池と同等の性能である、500回の充放電で初期容量比75%の容量の維持を確認し、高い実用性を実証。
NECは、有機ラジカル電池の実用化?適用領域の拡大に向けて、引き続き研究開発を強化してまいります。
以上
(注1)
2001年にNECが提案した、プラスチックの一種である有機ラジカル化合物を電極活物質に用いた電池。有機ラジカル化合物と炭素繊維からなる複合正極に電解液を浸透させることで、ゲル狀のフレキシブルな電極を実現している。ラジカル部位の酸化還元反応により充放電を行う。高出力性(一度に大きな電流を放電可能)という特長を持つ。なお、有機ラジカル電池の研究開発の成果の一部は、2006年6月~2011年3月に行った経済産業省?NEDOのプロジェクト「先端機能発現型新構造繊維部材基盤技術の開発」(高性能、高機能電池用部材の開発)」によるもの。
(注2)
kW/Lは、電池の體積あたり出力可能な電力。